「大変な途中下車シリーズ」を統計する 前編

 

あけましておめでとうございます。

 

どうもゆっけりんです。皆さんは「大変な途中下車シリーズ」の存在をご存知でしょうか。今年で14年目に突入する大変な途中下車シリーズですが、これまで投稿された動画の総数はなんと8,330件*1にのぼります(2020/1/11現在)。

僕自身も、大変な途中下車シリーズと大きな関わりがあります。大変な途中下車シリーズを見始めて今年で9年*2(!)、作者になって2年が経ちました。その中で、「大変な途中下車シリーズがどのような変遷を遂げて来たのか」という点に大きな興味を持つようになり、ついにこの記事を書くに至りました。題して『「大変な途中下車シリーズ」を統計する』です。かなり壮大なタイトルで大変恐縮ではありますが... 面白いデータをたくさんまとめてきましたので、ぜひくつろぎながら、お暇な時間にでも見ていただけたら幸いです。

 

関連リンク

bayrin.hatenadiary.jp

sokai-rdg.hatenablog.com

 

※データ集計にあたって「ニコニコ超検索│ごくりん.info」様を使わせていただきました。サイトを運営されているごくりん様にはこの場をお借りして感謝申し上げます。

 ※以下「途中下車」「下車」は「大変な途中下車シリーズ」のことを指します。

※この記事は特定の動画を贔屓したり、称賛したりすることを目的としていません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

 

 「大変な途中下車シリーズ」の定義

本題に入る前に、まず大変な途中下車シリーズの定義について調べました。

大変な途中下車シリーズは、IOSYSによる東方アレンジ「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」と鉄道を組み合わせたMAD動画に付けられるタグである。後述の経緯によりシリーズ名称の定義と使用範囲が拡大したことで、現在では鉄道音MADの実質的な統一タグとして認知されている。

(中略)

JR東日本は大変な放送を流していきました β版exit_nicovideo』をブームの発端とする鉄道MADシリーズの1ジャンルである。

派生タグも多数存在しており、使用曲ごとの個別タグや、 「大変な○○シリーズ」、「○○な途中下車シリーズ」といった名称のタグが多く用いられる傾向にある。「途中下車」の単語が含まれている鉄道関連タグも少なくない。

(中略)

シリーズタグとしての「大変な途中下車シリーズ」は複雑な経緯を辿っている。

名称はIOSYSの東方アレンジ曲「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」に由来しており、当初は盗んでいきましたシリーズ×鉄道の使用曲別タグであった(ただし、この組み合わせは上記の作品以前に2作品が存在する)。後に「患部で止まってすぐ溶ける」や「えふおーいーとのそうぐう」など、他のIOSYSソングも使用されるようになると、「大変な途中下車シリーズ」はIOSYS×鉄道のまとまりとされるようになる。

引用:大変な途中下車シリーズとは (タイヘンナトチュウゲシャシリーズとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

このように、もともとは「魔理沙は大変なものを盗んでいきました×鉄道」という組み合わせのMAD動画につけられるタグでした。ここでいうMADとは音MADだけではなく、PV系MADや替え歌系の動画も含みます。

以下に大変な途中下車シリーズの定義の変遷をまとめました。

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このように、現在では「大変な途中下車シリーズ」=「鉄道音MAD」という図式が成り立っていますが、少なくとも2008年以前は必ずしも成り立つというものではありませんでした。大変な途中下車シリーズの変遷を追っていく上で、このことには大きく注意する必要がありそうです。

当記事では、特にことわりがない場合は「大変な途中下車シリーズ」が「鉄道音MAD」を意味するものとして、話を進めていきます。

 

 音MADの中の「大変な途中下車シリーズ」

音MADの中では異端の扱いを受けている大変な途中下車シリーズ。バステイシリーズと同じく、作者自身がオフラインで取材・素材収集をするほぼ唯一の音MADジャンル、といっても過言ではないと思いますが、途中下車というジャンルが全音MADのうちどれくらいの割合を占めているのでしょうか?

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 ※2020/1/11現在。

このグラフでいう「全音MAD」とは「音MAD or 大変な途中下車シリーズ」でタグ検索をしたものです。(音MADのみでタグ検索をしない理由は後述)また、「大変な途中下車シリーズ」とは「大変な途中下車シリーズ」でタグ検索をしたものです。
ニコニコ動画の黎明期は38%と非常に高い値を示していますが、以降は概ね低下傾向となり、2012年以降はほぼ8%~10%で推移しています。また古くなるほど動画が少なくなるのは、音MADの動画に「音MAD」タグをつける文化がなかったこと、または2008年7月に起こった「ニコニコMAD終焉祭」の影響が少なからずあったということが理由として考えられます。(参考:MAD削除問題とは (マッドサクジョモンダイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 

もっと詳しく見てみましょう。

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引用:

音MADの12年間のトレンドを探ってみた (1) - 爽快・楽しくなる動画(別館)

 これは音MAD関連動画の「素材」のうち上位10位のタグを表したものです。ただし、ここでいう音MAD関連動画は「音MAD or 音声MAD or 音系MAD」でキーワード検索をし、さらにタグ「歌ってみた」が除外されたものであるという点に注意してください。これによると、大変な途中下車シリーズは音MADで3番目によく使われる素材であることが分かります。さらに8位には「鉄道」がランクインしています。前述のとおり、現在では「鉄道音MAD」=「大変な途中下車シリーズ」であるため、項目としては重複していますね。どちらにしろ、鉄道が音MADに与える影響はかなり大きそうです。

このことから、以下のことを考察しました。

・途中下車(=鉄道)は、淫夢クッキー☆に次ぐ音MAD界3番手のコンテンツである。

・さらに、「音MAD or 音声MAD or 音系MAD」のキーワードを含めず、「大変な途中下車シリーズタグ」がついている動画の存在も考えると、大変な途中下車シリーズは音MAD界において最大規模のコンテンツである*3

先ほどの『音MADの中の「大変な途中下車シリーズ」』のグラフで「全音MAD」を『「音MAD or 大変な途中下車シリーズ」でタグ検索をしたもの』とした理由は、上の動画の存在によるものです。

・「大変な途中下車シリーズ」の動画の中には「音MAD」タグをつけない動画が相当数存在している*4

 

「 大変な途中下車シリーズ」の変遷

次は「大変な途中下車シリーズ」自身についてです。時代の流れとともに大きな変化を見せてきた途中下車ですが、その変化についてはこれまであまり公にされることがありませんでした。途中下車が一体どのような変遷を遂げてきたのか、以下のグラフをご覧ください。

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 ※2020/1/11現在。「再生数1万」とは再生数1万回以上の動画を、「マイリスト100」とはマイリスト100件以上の動画をそれぞれ指す。

大変な途中下車シリーズの年別動画数は2011年に一度ピークを迎えた後2013年まで減少しましたが、その翌年から現在に至るまで増加を続けています。これは上に示した通り音MAD全体の流れと同じですが、全体では2012年に一度ピークを迎えた後2014年まで減少しているので、下車の方が減少と再増加のタイミングが1年早い形となっています。再生数1万回以上の動画とマイリスト100件以上の動画については年によってばらつきが大きいものの、どちらも2016年が最も多くなっています。また2009年以降、再生数1万回以上の動画とマイリスト100件以上の動画の増減のタイミングはほぼ同じとなっています。

このことから、以下のことを考察しました。

・2007年と2008年の動画が少ないのは、音MAD全体の流れと同じく、途中下車の動画に「大変な途中下車シリーズ」タグをつける文化がなかったこと、または2008年7月に起こった「ニコニコMAD終焉祭」の影響が少なからずあったということが理由として考えられる。

・2018年と2019年の再生数1万回以上の動画とマイリスト100件以上の動画が他の年に比べて著しく少ないのは、年月がまだ経っていないからということが挙げられる。直近2年間の動画の評価については、もう少し待つ必要があると考える。

・再生数1万回以上の動画とマイリスト100件以上の動画はどちらも2016年が最も多いことから、現時点で大変な途中下車シリーズの全盛期は2016年であると言える。

いかがでしたでしょうか。あくまで数字上の話であり実態については不明瞭な点も多いですが、下車の全盛期は2000年代ではなくたった4年前の2016年であるという考察をしました。では、2016年に何が起こったのか。みなさんもよくお分かりでしょう。

RED_WINGリスペクトシリーズの流行です*5。2016年に投稿された770件の途中下車のうち134件(17.4%)の動画がRED ZONEを原曲としたものでしたが、そのうちなんと33件もの動画が再生数1万回以上、17件の動画がマイリスト100件以上となり*6RED_WINGリスペクトシリーズ含むTRAIN_ZONEシリーズ*7は下車界きっての大ヒットシリーズになりました。このシリーズについて、機会があれば別記事で述べたいと思います。

ここからは、再生時間、コメント、再生数、マイリストという4つの要素に分けて、大変な途中下車シリーズの変遷について紐解いていきたいと思います。

 

「大変な途中下車シリーズ」と再生時間

大変な途中下車シリーズの再生時間は、おおむね原曲の長さに依存します。先に挙げた「RED_WINGリスペクトシリーズ」は約30秒と比較的短く、こういった30秒ほどの作品はいわゆる「雛形MAD」として認知されています。一方、単作、合作の違いによっても再生時間は変わり、特に合作の方は大人数になればなるほど再生時間が長くなっていきます。どのくらいの長さの下車が主流なのか、以下にまとめたのでご覧ください。

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 ※2020/1/4現在。再生時間5:01以上の動画は429件(5.1%)。
これは「大変な途中下車シリーズ」の動画を再生時間10秒ごとの階級にわけたものです。やはり0:31-0:40の階級が一番多くなっていますが、それと匹敵するほど多いのが1:41-1:50の階級です。もっと広く見ると、0:21-0:50と1:41-2:10の二大巨頭となっています。逆に、0:51-1:30はかなり数が落ち込んでおり、0:21-0:50と1:41-2:10との差が鮮明になっています。再生時間で言えば0:21-0:50と1:41-2:10の2つが下車の主流と言えそうです。

 

 以下に大変な途中下車シリーズと全音MADの比較をまとめたので、ご覧ください。

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 ※2020/1/4現在。「大変な途中下車シリーズ」のうち再生時間5:01以上の動画は429件(5.2%)。「全音MAD」は「音MAD or 大変な途中下車シリーズ」でタグ検索をしたもの。「全音MAD」のうち再生時間5:01以上の動画は3696件(4.7%)。
やはり音MAD全体で見ても0:31-0:40の動画の割合が一番大きいですね。しかし、下車だけの場合に比べて全音MADの場合は0:51-1:30の割合の落ち込みが浅くなっている反面、3:01以上の動画が少なくなっています。この違いは下車特有のものだ、ということが言えそうです。

 再生時間がコメント数、再生数やマイリスト数とどのように関わっているのかについては、機会があれば別動画でまとめたいと思います。

 

「大変な途中下車シリーズ」と再生数

 YouTubeニコニコ動画をはじめとする動画投稿サイトにおいて、最も重要な要素が「再生数」。動画の「伸び」を最もよく表す要素といって言って良いでしょう。音MADの再生数に関する議論はこれまで幾度となく交わされていましたが、個人的には、自分の創作物を一般に公開するからには重要視すべき指標なのかなという風に感じています。下車の再生数の分布がどのようになっているのか、以下にまとめたのでご覧ください。

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  ※2020/1/7現在。再生数10,001以上の動画は723件(8.7%)。

これは「大変な途中下車シリーズ」の動画を再生数100ごとの階級にわけたものです。再生数500-600の動画が最も多く、それよりも上の動画は再生数が増えていくにつれて動画数が指数関数的に減少しているのが分かります。

 

 以下に大変な途中下車シリーズと全音MADの比較をまとめたので、ご覧ください。

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※「大変な途中下車シリーズ」は2020/1/7現在で、再生数10,001以上の動画は723件(8.7%)。「全音MAD」は「音MAD or 大変な途中下車シリーズ」でタグ検索をしたもの。「全音MAD」は2020/1/9現在で、再生数10,001以上の動画は17,247件(21.9%)。

重ねてみると少しわかりにくいかもしれませんが、やはり傾向がはっきり分かれています。音MAD全体で見ても再生数500-1000の動画の割合が大きく、それよりも上の動画の割合は再生数が増えていくにつれて指数関数的に減少していくという状況は同じです。しかし、再生数6000以下のほぼすべての階級で全音MADより大変な途中下車シリーズの方が割合が大きくなっています。その分、全音MADより大変な途中下車シリーズの方が再生数10001以上の動画の割合が小さくなっています。つまり、下車は音MAD全体よりも再生数が少なくなりやすい傾向にある=下車は相対的に伸びにくいということが言えます。

 

~~~

はっきりと結果が出ましたね。下車は相対的に伸びにくい。その理由はやはり「鉄道」というジャンルが一般受けしない、マイナーなものであるから。という一点に集約されるでしょう。規模は大きいものの、視聴者が限定されるという点でかなりコアなコンテンツであるということが言えそうです。

 

また、再生数分布の年別推移についても載せておきます。

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 ※2020/1/11現在。

前者は「大変な途中下車シリーズ」の動画を再生数2000ごとの階級にわけ、その年別推移を表したものです。後者は各階級の割合の年別推移を示したものです。

先のグラフで示した通り、2007年から2019年にかけて年別動画数が激増していますが、その中でも最も増加した階級が0-2000の階級であることが明らかに分かります。しかし割合で見ると、2011年では63%だったのが2016年には35%まで落ちています。その後は特に顕著な増加をしており、2019年は80%となっています。反面、10001以上の階級は絶対数が増えないため、割合が年々小さくなっているということも分かります。このグラフを見て、2016年以降年々再生数が伸びにくくなっているという見方もできます。しかし、これは年月が経っていないことによる影響が大きそうなので、直近3年のデータについてはもう少し評価を待つ必要がありそうです。

 

「大変な途中下車シリーズ」とコメント

 ニコニコ動画最大の特徴といえる「コメント機能」。時代の流れとともにさまざまな機能が追加・廃止されてきましたが、このコメント機能はサービス開始時からずっと変わらぬ形で存在してきました。途中下車においてもコメントは非常に重要な機能であり、コメントの内容が度々作者間の議論の対象になったりもします。また、途中下車はセリフ合わせを主体とするものが多く、そのセリフを「歌詞」として表す「歌詞コメント」が投稿されることもあります。ということで、コメント数の分布を以下にまとめたのでご覧ください。

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※2020/1/5現在。コメント数301以上の動画は698件(8.4%)。

これは「大変な途中下車シリーズ」の動画をコメント数10ごとの階級にわけたものです。コメント数が多くなるにつれて、動画数が指数関数的に減少しているのが分かります。

 

以下に大変な途中下車シリーズと全音MADの比較をまとめたので、ご覧ください。

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 ※2020/1/4現在。「大変な途中下車シリーズ」のうちコメント数301以上の動画は698件(8.4%)。「全音MAD」は「音MAD or 大変な途中下車シリーズ」でタグ検索をしたもの。「全音MAD」のうちコメント数301以上の動画は9827件(12.5%)。
音MAD全体で見てもほとんど分布が似ていますね。強いて言うならば、下車だけの場合に比べて0-20のコメントの割合が少しだけ小さくなっており、その分コメント数301以上の動画の割合が少しだけ多くなっています。しかし、差はほとんどありません。コメント数については、下車は音MAD全体とほぼ同様に分布するということが言えそうです。

 

ところで、前述のようにコメント機能は途中下車において重要な役割を果たしていますが、コメント数が多いからと言って必ずしも作品が伸びているとは限りません。なぜなら、コメントは再生数、マイリストとは違って格段に自演しやすい数字であるからです*8*9。コメント数が再生数やマイリスト数とどのように関わっているのかについては、機会があれば別記事でまとめたいと思います。

 

「大変な途中下車シリーズ」とマイリスト

先日投稿の「東方乗車録2019」には、今年から新たに「20マイリスト以上されている交通系音MAD*10を1作品以上投稿している人。」という合作参加条件が追加されました。結果、参加パート数は2018年の50パートから33パートに減少し、条件追加の影響が大きかったということが伺えます。では、大変な途中下車シリーズのうち、マイリスト20以下の動画はどれくらいの割合を占めているのでしょうか?

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 ※2019/12/27現在。

途中下車の半数以上がマイリスト20未満という結果になりました。マイリスト20という基準は一見厳しいようには見えますが、逆に言えば43.17%の動画がマイリスト20以上と考えることもできます。この基準については、今年以降も議論がなされていく必要がありそうです*11

 

次は、マイリスト100以上の動画について。これは僕が音MAD制作を進めるうえで第一に目標とする数字です。上記のように毎年数十作品しか到達しない、非常に厳しい数字ではありますが、どれくらいの割合を占めているのでしょうか?

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 ※2019/12/27現在。

1割以下という結果になりました。やはり厳しいですね。さらに厳しいのは、上のグラフから分かる通り、年々作品数は増加している反面マイリスト100以上の動画は減少しているので、マイリスト100以上の動画の割合が年々小さくなっているということ(詳しくは後述)。これからの途中下車の大きな課題と言えそうです。

 

「下車とマイリスト」について、上のグラフ以外にも様々なグラフをまとめましたのでご覧ください。

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 ※2020/1/10現在。マイリスト101以上の動画は731件(8.8%)。

これは「大変な途中下車シリーズ」の動画をマイリスト数別に表したものです。マイリスト0の動画が最も多く、それよりも上の動画はマイリスト数が増えていくにつれて動画数が指数関数的に減少しているのが分かります。

 

以下に大変な途中下車シリーズと全音MADの比較をまとめたので、ご覧ください。

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2020/1/10現在。「大変な途中下車シリーズ」のうちマイリスト101以上の動画は731件(8.8%)。全音MAD」は「音MAD or 大変な途中下車シリーズ」でタグ検索をしたもの。「全音MAD」のうちマイリスト101以上の動画は19206件(24.4%)。

再生数同様、はっきりと傾向が分かれています。まず、大変な途中下車シリーズはマイリスト0の動画の割合が最も大きいですが、全音MADではマイリスト3の動画の割合が最も大きくなっています。それより上で動画数が指数関数的に減少している点は同じです。しかし、マイリスト数50以下のほぼすべてで全音MADより大変な途中下車シリーズの方が割合が大きくなっています。その分、全音MADより大変な途中下車シリーズの方がマイリスト数101以上の動画の割合が小さくなっています。つまり、下車は音MAD全体よりもマイリスト数が少なくなりやすい傾向にあるということが言えます。

 

 また、マイリスト数分布の年別推移についても載せておきます。

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 ※2020/1/10現在。

前者は「大変な途中下車シリーズ」の動画を20マイリストごとの階級にわけ、その年別推移を表したものです。後者は各階級の割合の推移を示したものです。

先のグラフで示した通り、2007年から2019年にかけて年別動画数が激増していますが、その中でも最も増加した階級が0-20マイリストの階級であることが分かります。2017年以降は割合で見ても特に顕著な増加をしています。反面、21-40マイリストの階級の割合は全く変化していません。また、61-80マイリスト、81-100マイリストの階級の割合は年によってばらつきが大きく、101マイリスト以上の階級は絶対数が増えないため割合が年々小さくなっているということも分かります。このグラフを見て、2016年以降年々マイリストが伸びにくくなっているという見方もできます。しかし再生数分布の推移のグラフでも述べた通り、これは年月が経っていないことによる影響が大きそうなので、直近3年のデータについてはもう少し評価を待つ必要がありそうです。

 

まとめ

 まだまだ調べたいことはいっぱいありますが、ここでまとめに入りたいと思います。

・「大変な途中下車シリーズ」は、「音MAD」タグのうち約8%超を占める、音MAD界最大規模のコンテンツである。

・数字上では、大変な途中下車シリーズの全盛期は2016年と考察できる。

・大変な途中下車シリーズの再生時間は、「0:21-0:50」と「1:41-2:10」の2つが主流である。

・大変な途中下車シリーズの再生数は、「501-600」の割合が1番大きく、音MAD全体よりも少なくなりやすい傾向にある。

・大変な途中下車シリーズのコメント数は、「0-10」の割合が1番大きく、音MAD全体とほぼ同様の分布になっている。

・大変な途中下車シリーズのマイリスト数は、「0」の割合が1番大きく、音MAD全体よりも少なくなりやすい傾向にある。

 

いかかでしたでしょうか。これまで楽観的な考察から悲観的な考察まで様々な考察をしてきましたが、個人的には、「大変な途中下車シリーズ」はまだまだ発展途上のコンテンツであると思っています。年別動画数が激増している、ということは年々下車に対する門戸が広がってきているということです。門戸を広がれば、おのずと下車全体が発展していくことでしょう。もちろん、僕も一制作者として、または一視聴者として下車の更なる発展に尽力していく所存です。

最後に、ご意見・ご感想・ご要望等ございましたら、下のコメント欄にご記入していただければ幸いです。可能な限りご要望にお応えさせていただきたいと考えています。

 

ご覧いただきありがとうございました。

 

*1:大変な途中下車シリーズのタグが付いている動画。

*2:見ていない時期もありましたが、2011年頃と2013年頃、2016年頃~現在は特に集中的に見ています。

*3:下のグラフにもあるように、単純に下車タグのついた動画の総数は8330(2019/1/11現在)なので、この数を鵜呑みにすると途中下車は音MAD最大のコンテンツということになってしまいます。実際のところは分かりませんが。このことについては、かなり大規模な考察が必要そうです。

*4:4580件(2020/1/11現在)。どちらもつけている動画(3750件)の方が少数派です。

*5:登場は2015年。

*6:2019年1月3日現在。

*7:大変な途中下車シリーズのうち、RED ZONEを原曲にしたもの。

*8:再生数も自演しやすい数字ではありますが、「伸びている」と評価されるまで再生数を増やすのは膨大の時間と労力がかかるので、やはりコメントの方が自演しやすいと言えます。

*9:ニコニコ動画で一番コメント数の多い動画が自演動画です。(「自分でうpした動画に自分でコメントしまくってみる」https://www.nicovideo.jp/watch/sm125732)

*10:交通系の案内放送を素材にした音MAD作品のことです。大変な途中下車シリーズとバステイシリーズのことを指していると見て差し支えないと思います。

*11:記事公開前にこの節の内容をTwitterにて発信しておりましたが、誤解を招く表現があったため一部を訂正させていただきました。大変失礼いたしました。