Sagammy!制作記 前編

今年は本当に夏が来るのだろうか...と疑心暗鬼になっている今日この頃です。

 

 

どうも、ゆっけりんです。

さて。今年の4月14日にニコニコ動画に投稿した拙作「Sagammy!」がなんと!100マイリストを達成しました!!!!!

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 登録してくださった皆様本当にありがとうございます。この動画が自身初の100マイリス動画となりました。本当に嬉しい。下車作者としてここまでの栄誉を頂けるとは到底思っていなかったので率直に嬉しいです。

ところで、前回の記事で僕はこのようなことを言いました。 

「もし動画の伸びが好調なら制作の舞台裏みたいな記事もぼちぼち書いて行こうかな〜と思っていますので、皆さんご視聴よろしくお願いします。」

* ご無沙汰しております。 - 私立英翼高校裏掲示板

軽い気持ちで放ったこの言葉ですが、まさかここまで愛していただける音MADになるとは思っていなかったので本当にびっくり仰天といった感じです。当初の予定では他の作品と合わせて書いていくつもりでしたが、こうなったら単独記事としてめちゃくちゃ濃密な内容にしていきたいなと思います。

 

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ということで、Sagammy!制作の舞台裏を「Sagammy!制作記」と称し、前中後の3編に分けて当ブログに書き著していきたいと思います。第1回目となる今回は前編として、主に「構想段階」というところに焦点を当ててお話して行こうと思います。ちょっと長くなりますが、皆さんどうかお付き合いのほどよろしくお願いします。

 

soundcloud.com

 ※この記事には一部Undertaleのネタバレを含む部分があります。Undertaleについて知りたくない方やネタバレを見たくないという方は、お手数ですがブラウザバックしていただければ幸いです。

 

 

総評

本題に入る前に、まずこの音MADの「伸び」というものを可視化していきたいと思います。

ニコニコ動画

再生回数:4,170 コメント:71  マイリスト:105 広告:65,800pt

YouTube

再生回数:800 コメント:13 高評価:53 低評価:0

 ・SoundCloud

再生回数:207 ハート:7 

(2019年7月14日 16:20現在)

 

ニコニコ動画では予想をはるかに超える再生回数とマイリスト数を達成いたしました。さらにニコニ広告が50,000ptを超えたため、サムネイル枠として(これもまた自身初ですが)金枠を頂きました。広告してくださった皆様、本当にありがとうございました。下車の中でも金枠が付いている作品というのは本当に貴重だと思いますので、本当に光栄なことだと思います。感謝しかありません。

 

その反面、YouTubeSoundCloudでの再生回数は比較的落ち着いているという風に捉えることができると思います。特にYouTubeニコニコ動画よりも再生回数が伸びる印象を持っており、実際過去の2作品についてはその通りでした。今回の作品がYouTubeで伸びなかった原因はいろいろ考えられますが、一番大きな原因として挙げられるのは、やはり自分の技量不足ではないかと感じています。主な活動拠点をニコニコ動画に置いているため、制作段階でどうしてもYouTubeの視聴者層を軽視しがちな部分がありました。次作ではこの経験を生かして、動画サービスの枠を超えて評価していただける作品を作っていきたいですね。

 またSoundCloudでの伸びも「Super Zama Za-ma」以上「あさぎり→ふじさん」未満といった感じです。理由としては、やはり音声に難があったのではないかな、と感じています。実は、この作品は音作りに至極苦労し、音声に関して半ば妥協する形で完成させた作品となっております。今となっては結構後悔するところが大きいのも事実です。この音声制作の裏側については次回の中編にてお話していこうと思います。

 

制作のきっかけ

音MADの作り方は次の2種類に分類できると思っています。「動画素材」を決めてから「原曲」を選ぶ方法と、「原曲」を決めてから「動画素材」を選ぶ方法です。

前者はより一般的な方法です。音MAD作者の方々のTwitterを見てみてください。皆さん「Hikakinの音MAD作りたいな〜」とか「真島茂樹好き」とか「東横線の下車作りてえ」とかおっしゃってますよね。そういうことにしておいてください。こんな感じで動画素材から原曲を決めていくことがよくあります。

後者は雛形MADに多いですかね。みなさんご存知RED ZONEやEvansなどの曲は雛形MADでよく用いられており、その曲で作ることを決めてから動画素材(途中下車なら駅や路線、列車)などを決めるという方が多い気がします。あとは合作ですかね。メドレー式の合作は動画を制作する前にあらかじめパートを決めておくということが普通だと思いますし、持ち寄り式の合作は原曲被りを防ぐためにあらかじめ原曲を決めておくということがよくあると思います。

僕の過去の作品で言えば、「Super Zama Za-ma」や「あさぎり→ふじさん」は前者にあたります。じゃあこの作品は、というと後者にあたります。つまり、Dummy!で作ることを決めてから相鉄の下車を作ることを決めたということです。

 

原曲決定の経緯

ではなぜDummy!で作ろうと思うに至ったのか。やっぱりこの2つの動画の影響が大きいですかね。

 

昨年末にネットを震撼させる大騒動を起こされた某氏制作の「Ducky!」とゴリラ味のバナナ氏制作の「Gommy!」です。両方とも再生回数50万回越え、Ducky!に至ってはなんと100万回再生されたという、間違いなく音MAD史に名を残す大作でございます。

Dummy!の何に惹かれたのか、というと(まあDummy!MADが前述のようにめちゃくちゃ伸びてて便乗しやすかったというのもありますが)やっぱり第一に挙げられるのはこの独特なメロディですよね。単調なメロディではあるものの、どこか中毒性があって、いつの間にか何回もヘビーローテーションしてしまっている。そういう意味で非常に音MADにしやすい曲だったのかなぁと思います。上の2つの音MADを聞いて、この曲で下車を作ろうと即決しました。

 

路線決定の経緯

このようにして原曲はすぐ決まったものの、原曲が決まった当初はどの路線で作るか全然イメージが固まっていませんでした。一つ考えたのは「八王子」に関連する路線で作ること。この曲の間奏に同じメロディを8回繰り返す部分があり、そのことがホモに見つかってしまった結果無事「八王子」曲として認定されてしまっていたためです。具体的に言えば中央線横浜線京王線あたりですかね。

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ニコニコ動画「【Undertale】Dummy!【作業用】」(https://www.nicovideo.jp/watch/sm27667340)より

あとは、Dummy!という曲名に近い名前の路線(またはそれに近い名前の駅を持つ路線)が良いなとも考えていました。音MADのタイトルには色々なものがありますが、大体は原曲名をもじったものや韻を踏んだものがタイトルになることが多いと思います。上の2つの音MADもそうですね。

Dummyという単語は日本語で発音すると「ダミー」となります。ダミー人形やダミーカメラなど、日本語でも比較的よく使われる単語ですね。この単語を母音で発音すると「アイイ」となります。さらに長音符(伸ばし棒)を除いて長母音を短母音にすれば「アイ」とすることができます。

この「アイ」という母音を持つ単語で一番最初に思い付いたのが「相模(サガミ)*1」でした。相模とダミーで韻を踏むことができ、この2つを組み合わせると「サガミー」、英語風に表記すると「Sagammy」となります。これだ!と思い、タイトルをこれにすることを決めました。その「相模」という名前を持つのは路線で言えば相模線、駅で言えば「相模原」や「相模大野」等の駅を持つ横浜線小田急ですかね。

こんな感じでどんどん路線を絞っていった結果、2つの条件を満たす路線は「横浜線」になりました。しかし。横浜線って「相模」感なくないですか。それもそのはず。確かに相模原駅は通りますが、旧相模国域を通るのが橋本~古淵間だけなので、相模の名を冠するのがふさわしいとはあまり言えないでしょう。同じような理由で京王線や中央線も旧相模国をまったく通らないため、結局「八王子」に関連する路線で作るのはやめました。

その観点で言えば一番ふさわしいのは相模線ということになりますが、相模線は路線の性質上個性のある駅が少ないうえに、車内放送の収録も難しい。なので相模線も選択肢から除外することに。

唯一候補に残ったのがみなさん大好き小田急電鉄小田急は自前素材が多く比較的音MADが作りやすいですし、「相模大野」や「小田急相模原」、また相模国分寺が所在した海老名市を通り「相模」の音MADという点でも適しているのかな、と考えていました。「さがみ」というロマンスカーの列車名もありますしね。

が。自分自身、Sagammy!投稿前の音MADは全て小田急の作品であり、今回も小田急というのは面白みに欠けるなと感じてしまったんですね。あとは、これは個人的な感性の問題だと思いますが、小田急の雰囲気とDummy!の雰囲気はあまり似ていないのではないのかな、ということも感じました。小田急といえばやっぱりロマンスカーロマンスカーの華やかさと、Dummy!という曲または(後述しますが)この曲が流れる時の戦闘相手であるMad Dummyというモンスターのひょうきんさは、「違うベクトル」の中にあるのではないかな、と感じたのです。

 

結果、全ての候補がボツとなってしまいました。こうなるともうため息ばかりでてくる日々です。毎日地図を眺めながらどうしようか悩んでいました。音MADを作るにはどこかで妥協する必要があります。いっそのこと「相模」に固執せず、他の別の発想で作ろうかなとも考えていました。しかしその矢先。僕は1つ良い路線を忘れていたことに気づきました。

相鉄です。「相模」鉄道です。こんな単純な答えに1か月間くらいずっと気が付かなくて。気づいた瞬間、これで行こうと思いました*2。調べれば調べるほど発見がたくさん出てきました。相鉄は大手私鉄の中でも特に異質で、他にはない強烈な個性を放っています。具体的に言えばその路線長の短さや旅客車両系列の多さなどです。さらに今年11月に相鉄長年の悲願である都心直通線が開通し、それに合わせて20000系や12000系が登場するなど、今過渡期に向けて歩みを続けています。開業より少し早いタイミングにはなりますが、これを機に相鉄の持つ面白すぎる歴史を "tale" すなわち「物語」として表現することで、面白い作品が出来上がるのではないか。

このことを思いついたとたん、創作意欲がグンと上がりました。

 

こうして、相模鉄道×Dummy!という組み合わせが誕生しました。これが去年の11月のことです。

 

制作テーマ・コンセプト

このように「Sagammy!」の制作テーマが決まりました。相鉄の面白すぎる歴史物語、題して「SOTETSUTALE」。僕は相鉄沿線民でも何でもないですが、このテーマを見ただけでもどこかワクワクとした気持ちになります。今までも、そしてこれからも異彩を放ち続ける相鉄という鉄道会社の物語。

しかし、それとは逆にUndertaleの物語は凄い脆弱なシステムの上に成り立っています。真っ当なルートを通れば楽しく、感動的な物語だと思います。でも選択次第では地獄物語もあるわけです。制作するにあたってこの脆弱性はどうしても隠したかった。アンテMADの中にはこのゲームの有する残酷性を表に出したものもありますが、僕には到底そんな勇気はないです。面白い、楽しい作品を作るには、やはりその部分を徹底的に隠す必要がありました。

そういう観点からして、あまりゲームシステムの根本には関わらないものの、強烈なキャラクターでプレイヤーを楽しませてくれるモンスター「Mad Dummy」の戦闘曲「Dummy!」は音MADに適していると言えるのではないかな、と思います。マッドダミー君はあまり残虐性を感じさせないモンスターですからね。

この物語の愉快さ、ひょうきんさをどうやって引き出すか。この物語の残虐性をどうやって隠すか。このことが制作するうえで一番意識したことであり、同時にこの音MADのコンセプトとして挙げられるポイントだと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。前編だけで6,000文字近くになっちゃいました。このままのペースでいけば前中後編合わせて20,000文字近く行きそうです。

まあそれだけ情熱をもって制作したということでしょう。原曲と動画素材の組み合わせに非常に気に入っていますし、それゆえに今まで一番作ってて楽しいと感じた作品でした。あとは、僕自身受験という人生の過渡期を迎えていたというのもあったでしょうか。そこが非常に難しく、制作が決定してから実際に制作に取り掛かるまでには数か月かかってしまったのですが、何とか完成まで漕ぎつけることができました。完成させられたのは、間違いなく高いモチベーションを保つことができたおかげだと思います。その制作段階については中後編でお話しすることとします。多分中編が音声、後編が動画についてのお話になると思います。

 

ご覧いただきありがとうございました。次は中編でお会いしましょう。(その前に下車関連の記事作るかもしれませんが。)

それでは。

*1:母音にするとアアイで、後ろ2文字がアイと一致します。

*2:なぜここまで気づくのが遅れたのかというと、相鉄、相鉄と略されすぎててあまり相模鉄道という正式名称で意識したことがなかったのと、単純にあまり相鉄の事を知らなかったのが原因だと思います。